アルコール性肝障害とC型肝炎
C型肝炎
2008年08月04日
C型肝炎の診断がなされるようになってから、従来アルコール性肝障害と考えられた症例の中に、HCVが検出されるようになりました。特に、肝硬変、肝癌では陽性率が高く、その進展機構にHCVが関与している可能性が指摘されています。
HCV抗体陰性のアルコール性肝障害は、脂肪肝、アルコール性肝炎、アルコール性肝線維症のいずれかである可能性が高いといえます。
常習飲酒家で組織学的に慢性肝炎を呈する症例のHCV抗体陽性率は57%と高率です。常習飲酒家でかつHCV抗体陽性の慢性肝炎は病因論的に①HCV②アルコール+HCVの2通りが予想されます。主体となる病因の鑑別は容易ではありませんが禁酒による臨床検査成績の改善、アルコールマーカー、組織学的特徴をとらえることで鑑別がなされています。
大酒家肝硬変は病因的に、「アルコール性」と「アルコール+ウイルス性」の2型に分けられるo HB抗原陰性、HCV抗体陰性の場合「アルコール性」に分類され、前駆病変として、肝線維症やアルコール性肝炎などをあげることができます。一方、HB抗原陽性あるいはHCV抗体陽性の場合は「アルコール+ウイルス性」に分類されます。大酒家肝硬変のHCV抗体陽性率は約50%です。「アルコール+HCV性」は肝癌を高率に発症するので、腹部エコーや腫瘍マーカーの検査などを定期的に受けることが重要です。
アルコールはそれ自体発癌作用は少ないのですが、HCVによる発癌を修飾する可能性が示唆されています。したがって、C型肝炎の患者さんは禁酒した方がよいと言えます。