慢性C型肝炎 – 臨床経過
C型肝炎
2008年08月04日
a.自他覚所見
慢性C型肝炎を語るときに、患者さんの自覚症状が乏しいということがあげられます。したがって、健康診断、献血、他疾患で医療機関受診時に、偶然肝機能障害やHCV抗体陽性を指摘されることが多いのです。疲れやすさや、全身のだるさを訴えることがありますが、トランスアミナーゼ値の変動とは相関しないことが多いのです。
b.理学所見
肝臓の腫れ、手のひらが紅くなることがしばしばみられます進行した症例では、脾臓の腫れ、クモ状血管腫がみられるようになります。
c.肝機能検査
トランスアミナーゼはB型でかなり極端な経時的変動がみられるのに比し、C型の多くはだらだらと100-200単位位前後を推移します。B型の急性憎悪時には500単位を超えることがしばしばみられますが、C型では高々300-400単位です。
d.経過
従来、慢性C型肝炎の予後はB型に比し、比較的良好と考えられていましたが、長期間観察すると、肝硬変、肝細胞癌へと進展することの多い、予後不良の病気であることが明らかになっています。また、肝細胞癌は肝硬変に合併することが多いのですが、最近慢性肝炎での合併例が増加傾向にあるので注意深い観察が必要です。
一般に、慢性肝炎の初期には病変の進展はゆるやかですがある時期より急速に悪化する傾向があるといわれています。なかには病初期より急速な進行を呈するものもあります。さらに、40年もの長期間、ほとんど進行しない症例が認められる一方、短期間に肝硬変に進展する症例もみられます。何故にこのような差がみられるのかはわかっていません。
慢性C型肝炎には自然治癒がほとんどありません。長期経過においてGPT正常化はl.6-2.6%です。また、仮に正常化したとしてもウィルス血症は持続し、肝病変は進行することがあるとされています。
肝機能が正常で、症状の出ていないHCV保有者の大部分は慢性肝炎の寛解期と考えられます。肝臓の組織をみると、このような患者さんでも血中トランスアミナーゼ値と関係なく高頻度に慢性肝炎が存在することが報告されています。