肝臓疾患について 1
肝臓疾患
2009年05月02日
肝臓は、人間の身体の中で様々な役割を果たしている重要な臓器です。
主な役割としては、食物として摂取した栄養を身体に必要な形に変えて役立つように調整してくれるのが肝臓です。
また、身体に必要な貯蔵や解毒なども肝臓が行なってくれます。
身体の機能の最前線にあって微妙な調整機能を担って絶えず働いている肝臓ですが、それゆえに望ましくない生活習慣の影響を受けて肝臓病を発症したり、感染によって長い年月のあいだに慢性化していることも少なくありません。
よく肝臓のことを「沈黙の臓器」と表現しますが、これは、大きなダメージを受けていても自覚症状が出にくいという肝臓の性質に由来するものです。
このため、肝臓の状態を把握するためには、あらわれている症状にかかわらず血液検査を受けることが有効になります。
肝臓に関連する血液検査の項目はたくさんあり、それによって得られるたくさんのデータから医師は、肝臓に何が起きているかを判断します。
健診によって得られる血液検査や尿検査のデータからでも、肝臓についてかなりの情報が得られます。
加えて、肝臓病の診断に有効なものに画像診断があります。
超音波検査(エコー)・CT(コンピュータによる断層撮影)・MRI(核磁気共鳴装置)などです。
当医院ではエコーとCTを診断に用いています。
肝臓病の主なものを以下に示します。
① 脂肪肝
肝臓を形成する幹細胞の中に脂肪が貯まった状態です。その脂肪の大部分は中性脂肪ですが、主に肥満・アルコールの過剰摂取・そして糖尿病が原因となっています。
② アルコール性肝障害
飲酒の過多が原因でおこる脂肪肝・肝硬変・アルコール性肝炎などです。
③ 肝炎
文字通り肝臓に炎症が起きている状態です。主にウィルスなどが原因で起こりますが、急性と慢性に分類されます。
ア 急性肝炎
この原因の多くはウィルスの感染ですが、経口による発病(A型・E型)と血液媒体の発病(B型・C型)があります。
発病時に黄疸がでるのが、この血液媒体の肝炎の特徴です。
急性肝炎は、肝細胞が急激に破壊されますが、1か月ほどで治ります。しかし、C型の肝炎の場合、急性から慢性化する場合があります。
イ 慢性肝炎
肝細胞が長い間に徐々に壊されていく状態です。最初に肝炎の発症の原因となったウ ィルスが残存し再び増殖が起こることにより、それに反応して肝細胞内に炎症が起こることが繰り返される状態です。
ウ 劇症肝炎
急激に肝細胞が壊れて肝臓の機能が失われていく状態です。重篤な症状に陥り、死亡にいたることもあります。
④ 肝硬変
さまざまな原因により細胞が壊れた部分の繊維化が進行した状態です。
⑤ 原発性胆汁性肝硬変
炎症によって肝臓内の胆管が壊され、胆汁に含まれる胆汁酸が肝細胞を壊していく自己免疫性疾患です。
⑥ 肝臓がん
慢性肝炎・肝硬変などが進んで発病することが多く、その大部分がC型・B型の肝炎ウィルスの感染から起こります。
今回のまとめとして
重要なことは、自分の肝臓の状態を正確に把握して、その状態に対処する適切な治療を行うことです。
医学の進歩で、さまざまな治療法が生まれてきていますから、先延ばしにせずに医師に相談し、自分の病気への理解を深めて、一番良い治療法を選択してください。