結核について
結核
2012年08月30日
☆結核とは
結核菌は1882年に細菌学者コッホによって発見されました。
マイコバクテリウム属の細菌、主に結核菌が体内に入ることにより引き起こされる感染症です。
日本では、明治初期まで肺結核は労咳(ろうがい)と呼ばれていました。治療に有効な薬がなく、多くの人が結核のために亡くなる時代もありました。
結核菌は主として肺を侵し(肺結核)ます。結核菌が肺の内部で増殖して肺が腫れ、進行すると呼吸機能が低下します。
結核菌が腎臓、リンパ節、骨、脳など他の臓器におこることもあり、これを肺外結核といいます。
☆このような症状がでたら要注意
結核の初期の症状はカゼの症状とよく似ていて、せき、痰(たん)、発熱(微熱)などの症状が長く続きます。
体重減小、食欲低下、寝汗などの症状がでることがあります。
☆重篤になると
倦怠感(だるい)息切れ、血痰(血の混じった痰)などが出始め、呼吸困難に陥って死に至ることもあります。
☆感染の有無を検査するには
感染の有無は、ツベルクリン反応検査、クォンティフェロン®TB-G(QFT)検査などにより診断できます。
★ツベルクリン反応検査
ツベルクリンという液を皮内注射して、48時間後に判定します。結核菌感染やBCG接種を受けた人は、皮膚が赤く反応します。痰(たん)の採れない方、胸部X線写真の撮影が出来ない方に有効です。ただし、反応が結核感染によるものか、BCG接種によるものかが判断しにくい場合があります。
★QFT検査
血液検査によって結核の感染を調べることができます。ツベルクリン反応検査は48時間後に皮膚反応を測定するため、再度医療機関を訪れる必要がありますが、QFT検査は試験管内で検査できます。BCGワクチンの影響を受けない為、ツベルクリンに代わって行われることが多くなっています。
☆発病の有無を検査するには
発病しているかどうかは、X線撮影(胸部レントゲン、CTスキャン)や細菌検査で診断できます。またレントゲンで判断しにくい場合、痰(たん)の検査で診断します。
★喀痰(かくたん)検査
結核菌を身体の外に排出(排菌)しているかどうかを診断します。塗抹検査、培養検査、遺伝子検査などがあります。結核菌は増えるのが遅く培養検査の結果が判明するのには何週間かかかります。
☆予防
★免疫力
免疫力を低下させないことが大切です。
そのために正しい生活習慣を心がけましょう。食事の栄養バランスを考え、疲労を蓄積させないように充分な休息、睡眠をとり、また適度な運動を心がけてください。
結核菌は紫外線に弱く、体外に排出された菌は日光に当たると数時間で死滅しますから衣類や寝具の殺菌を効果的に行なうことも有効です。
★健康診断・医療機関への受診
定期健康診断を受けましょう。そして、カゼのような症状が長く続くようなら医療機関で受診しましょう。他の人への感染を防ぐためにも早期発見、早期治療が重要です。
★BCG接種
BCGは、結核の重症化を防ぐワクチンです。毒性を弱くした牛型結核菌を接種することで本当の結核菌が後から侵入した時に備えて免疫をつけておく目的で接種されます。特に子供の結核予防に有効で、安全な予防接種として世界で広く用いられています。
*有効期間について*
BCGの結核予防効果は永遠には持続しません。最長12、13年ともいわれます。
このため成人の結核に対する予防効果は望めないと考えられます。
☆乳幼児の結核予防
結核菌に感染すると乳幼児には髄膜炎や粟粒結核などの疾患が発症しやすく、生命にかかわることがあります。
乳幼児への結核予防には、先に述べたBCGが有効です。
予防接種法により、乳幼児期の重症結核を早期に予防するため、生後6ヵ月未満の乳幼児にはツベルクリン反応検査を行わずに、BCGを接種できるようになっています。生後6ヵ月未満の乳幼児の接種費用は自治体等が負担します。
☆☆☆ まとめ ☆☆☆ 結核を疑う症状がでたら
2週間以上、せきや痰(たん)、微熱が続く時や自覚症状がなくとも健康診断などで肺の二次検査が必要であると指摘された場合には、そのまま放置せず、早期に医療機関で受診してください。