塩分の過剰摂取を防ぐ
2024年11月28日
塩分の過剰摂取を防ぐために
人と塩の歴史
今のように食塩が簡単に手に入らなかった昔、塩は貴重品でした。
給料をサラリーと呼びますが、この語源は古代ローマ時代に国に雇われていた軍の兵に給料の一部として「塩の塊」(ラテン語でサラリウム)が与えられていたことだといわれます。
その後、「塩を買うためのお金」として貨幣が給料として払われるようになりましたが、このお金の意味合いから現在使われている「サラリー」という言葉が生まれたといわれます。
塩は人類にとって大切なもの
血液や消化液中の塩は、食物の消化を助け、細胞を守り、身体の状態を整える重要な役割を果たしています。塩の成分ナトリウムは、神経や筋肉の働きを調整しています。汗や尿などと一緒に塩分(ナトリウム)が排出され、水分と塩分が適切に補給されないと、体内のバランスが崩れて脱水症状が起こります。疲労感・だるさ・めまい・立ちくらみ・頭痛・食欲がない・吐き気・足がつる・筋肉の痙攣・ 意識がもうろうとする、これらは熱中症に現れる症状としても知られています。
塩の過剰摂取をまねくもの
給料の語源となるほど貴重な塩ですが、その価値には食事を美味しくすることも含まれます。美味しい料理を食べるとき、その料理には塩が使われています。パンやお菓子・麺などにも塩が含まれています。私たちは食事をするたびに知らず知らずに塩を摂取しているのです。そして徐々に塩分の過剰摂取という状態になります。
福島県民の健康危機
福島県では塩分の摂り過ぎがまねく疾患の死亡率が全国的に高い(ワーストクラス)ことが問題となっています。塩分のとりすぎは、血圧が上がる原因となります。 血圧が高くなれば、動脈硬化が進み血液の流れが悪くなり、結果的に血管に起因する様々な疾患の発症確率が高くなります。狭心症・心筋梗塞・脳出血・脳梗塞などです。とくに血管に負担をかけている糖尿病やメタボリックシンドロームの人は、塩分による影響を受けやすくなります。事実、糖尿病のある方で高血圧があると、糖尿病合併症、脳卒中や心血管疾患などの発症リスクが高まります。
健康危機からの脱出のために 自覚症状を見逃さない
塩分を取りすぎると様々な自覚症状が起こります。
・ のどがよく渇く
・ 走ると胸が苦しくなる
・ 手足がしびれることがある
・ 足がよくむくむ
・ 足がつることが多くなった
・ 夜中にトイレに起きるようになった
・ 少し動くと息が切れる
・ 目が見えにくくなった
このような状態はすでに健康危機の状態です。このまま放置せずに塩分の過剰摂取を防ぎましょう。
1日の塩分摂取量は6g未満に
食事の塩分をコントロールする際に基準となるのが、1日の適切な塩分量の目安です。
厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」によれば、推奨される1日の塩分量は男性で7.5g、女性で6.5g未満と設定されています。ただし、高血圧や慢性腎臓病(CKD)の重症化を予防するための塩分量は、2020年から男女共に1日6g未満に設定されました。また、日本高血圧学会も、1日の塩分摂取量は6g未満が望ましいとしています。
調味料からの塩分摂取を控える
日本には様々な調味料がありますが、この調味料からの塩分摂取率が一番高いとされています。塩・醤油・味噌などの調味料の使い方を意識していきましょう。
塩分の過剰摂取を防ぐために心がけること
- 毎日の食事を薄味にする
- 生野菜(ドレッシングなし)蒸した野菜、バナナなどを摂る
- 外食では塩分の多い食品を残す
- 味噌汁・澄まし汁は野菜などの具を多くして薄味にする
- 麺を食べる時には必ずつゆ(スープ)を残す
- 漬物や佃煮はごく少量にしてご飯や生野菜も同時に食べる
- 食卓上に塩・醤油・ソースなど塩分を含む調味料の容器を置かない
塩分に頼らず毎日の食事をおいしくいただくために
風味を増すスパイス(香辛料)胡椒・カレー粉・山椒・唐辛子などを少量使いましょう。
胡椒 カレー粉 山椒 唐辛子
酢・ゆず・レモン・大葉(紫蘇)・ネギ・生姜など風味を増す柑橘類や野菜を上手に使いましょう。
酢 柚 レモン 大葉(紫蘇) ネギ ショウガ ワサビ
毎日の食習慣を工夫して塩分の過剰摂取を防ぎましょう。